Lección 007 be動詞に相当する動詞の使い分け【2】

さていよいよ「①性質」にふれるときが来ました。性質はざっくり2種類に分けられることを前々項でお伝えしましたが、覚えていますか。そうです、「本質的」か否か、言い換えれば「(半)永続的」か否か、でしたね。YESであればserを、NOであればestarを用いる、ここまではOKでしょうか。

実は、この点を動詞の使い分けではっきりさせるのは、スペイン語の大きな特徴なのです。多くの言語において、「本質的な性質」と「本質的ではない性質」との違いを誤解なく伝えるためには、何らかの添え言葉が必要です。たいていは副詞的な添え言葉です。たとえば、「いつも・これまでずっと・生まれつき・元来」に類するものが添えられていれば前者だとわかりますし、「今・昨日・今日・明日・先日・ときどき」に類するものが添えられていれば後者だとわかります。もちろん、添え言葉がなく、文脈で読み取ることを期待されるケースも多いので、誤解が生じる可能性は否めません。日本語も例外ではありません。スペイン語ではそういった混乱が起き得ないのですね。

使い分けの例
では、以下に例をあげましょう。よく比べてみてください。

Mi esposo es nervioso. 神経質なタイプである。
Mi esposo está nervioso.   なんらかの理由でいらいらしている。
…両者とも英語対訳はMy husband is nervous.となりますが、意味に違いがありますね。

Esta comida es buena.   なんらかの効用がある、高品質である。
Esta comida está buena.   うまく調理されていて美味である。
…両者とも英語対訳はThis food is good.となりますが、意味に違いがありますね。

実用的ルール
以下に使い分けのチャートを用意しました。

〇性質が名詞で表されている(職業や立場に言及するケースが多い)。
➡︎動詞はser。
Soy estudiante de primer grado. I am a first grade student.
Somos hermanos carnales. We are real brothers.

〇性質が形容詞で表されている。
➡︎その性質が「本質的である」。➡動詞はser。
Esa actriz es guapa. That actress is beautiful. 美しい。
Mis gatos son listos. My cats are clever. 賢い。

➡︎その性質が「本質的ではない」。➡動詞はestar。
Estás guapa con ese vestido. You are(look) beautiful in that dress. 服が似合っている。
Estamos listos para salir. We are ready to go. 支度ができている。

あとは実践あるのみ
serとestarの使い分けがいくらか整理できたなら、あとは実践あるのみです。ノンネイティブであるわたしたちが使い分けを身に着けるコツは、やはり『習うより慣れよ』。回数を積み重ねてゆくと、用法を誤ったときになんともいえない違和感を感じるようになります。経験に基づいた直感のようなものが働くのですね。

さて、前項で「所在の概念はestar一択」とお伝えしたときに「じゃあthere is(are)~もestarなんだね」とは思いませんでしたか。よい着眼点です。次項以降で取り上げましょう。